株式会社WizWe、那覇市、NTT西日本株式会社の3者が実施した「歯の健康習慣化支援事業〜磨くのは歯だけじゃない。親子の信頼と、未来の健康も磨く〜」(以下、本実証)は、約3カ月間の実証期間を終了し、仕上げみがき習慣の定着において有意な成果が確認されました。
沖縄県は小児むし歯罹患率が全国的に見ても高い水準にあることが指摘されており、地域に根差した予防的アプローチが求められています。本実証は、こうした地域課題に対し、行動科学に基づく習慣化支援モデルを導入し、日常生活における“歯磨き習慣”の定着を促進する取り組みです。
那覇市の未就学児の親子を対象に、親子で楽しく、自然に、毎日続けられる「歯磨き習慣」の定着を目的として実施しました。LINEを活用した「仕上げみがきサポートNAHA」により、画像付きメッセージの配信と専属サポーターによる双方向コミュニケーションを通じて、保護者に寄り添う支援を行いました。

■ 実証結果
① 仕上げみがき習慣の定着
【目標】
週5回以上の記録率 60%以上
※記録率:仕上げみがき実施回数/週
【結果】
・全期間平均記録率:67.4%
目標を上回る水準で推移し、単なる一時的な行動促進ではなく、「継続」という観点で成果が確認されました。また、各参加者のKPI達成率も66.7%となったことから、約7割が習慣化したと考えられます。
【未習慣化層の変化】
実証開始時点で仕上げみがきが習慣化していなかった層においても顕著な改善が見られ、実証後の記録率は62.5%まで向上しました。
②歯科受診率・健康意識の変化
【子どもの歯科受診率】
・実証前:18%
・実証終了時:45%
・今後の受診意向を含む:73%
【保護者の歯科受診率】
・実証前受診済み:54.5%
・今後の受診意向を含む:73%
【健康意識の変化】
・「健康意識が向上した」と回答:91.9%
子どもの歯科受診率は実証終了時点で約2.5倍に増加し、未受診層への行動喚起につながった可能性が示唆されました。さらに、行動変容にとどまらず、健康意識の向上という意識変容にも波及効果が確認されました。
■ 成果の要因:心理的伴走型サポート
実証結果から、仕上げみがきの継続を支える保護者向け支援において、習慣化サポートによる心理的伴走支援が有効に機能したと考えられます。成果につながった主な要因として、以下の3点が確認されました。
① 継続的な心理的サポートの効果
知識を提供するだけでなく、不安や葛藤への共感、「今できていること」を肯定する視点、行動のハードルを下げた提案に重点を置いたことで、行動を継続できる心理的状態を整える支援として機能したと考えられます。
② 「続けたいができない層」への有効性
動機はあるものの行動に移せない未習慣化層に対し、自己効力感の回復を支援するアプローチが効果を発揮しました。「できない自分を責めない支援」が、行動開始のきっかけとなりました。
③ 1歳・3歳という“困難期”への示唆
発達段階特有の困難さが明確となりました。
・1歳前後:生活リズムの不安定さ
・3歳前後:意思表示の強まりによる抵抗
これらの時期には、重要性を伝えるだけでなく、「難しいのは当然」という見通しを共有し、心理的に支えることが行動継続において重要であることが示唆されました。
■本実証から得られた知見
本実証により、習慣化サポートには以下の効果が確認されました。
・仕上げみがきの継続には、知識の提供以上に、保護者が抱える不安や葛藤に寄り添う心理的支援が重要であること。
・行動を直接促すのではなく、行動を継続できる心理的状態を支える支援として機能したこと。
本実証を通じて得られた知見は、仕上げみがき支援にとどまらず、他の子育て支援分野にも応用可能性を有するものです。テクノロジーと心理的伴走を組み合わせた新しい支援モデルとして、自治体施策への展開が期待されます。
■ 今後の展望
本実証により、自治体導入の可能性と一定の成果が確認されました。一方で、社会実装に向けた構造的課題も明らかになっています。
今後は、導入しやすい運用設計、継続可能な支援体制の構築、汎用化を進め、那覇市モデルを基盤に沖縄県内を中心に、将来は県外への展開も視野に入れ、持続可能な習慣化支援モデルによる社会課題の解決を推進してまいります。
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